新卒から約10年間働いて、管理職にも昇進し順調にキャリアを歩んでいる矢先に急遽決まった夫の海外転勤。
夫に単身赴任をしてもらい東京でキャリアを続けるか、会社を辞めて帯同するか悩みました。
最終的には、何となく見えてきた今のキャリアを続けるよりも、新しい発見がある海外生活の方がワクワクしたから、思い切って会社をやめることにしたよ。駐在妻になってみた!
とはいっても、子供もいないので現地で日中暇だと思い、帯同ビザで現地にて働けないかを検討しました。
この記事では、帯同ビザでインドネシアに行く予定の駐在妻(夫)の方で、現地で働きたいかも!と思っている方にとって役立つ情報を記載します。
帯同ビザ(C317)とは?
数あるインドネシアのビザの中で、駐在員の家族が取得するビザは帯同ビザ(C317)となります。
帯同ビザ(C317)は、駐在員の就労ビザ(C312)の発行を前提としており、ビザ取得のためには家族関係等を証明するために戸籍謄本等の提出が求められます。
簡潔にいうと、C317は、就労を目的としていません。ビザの目的に合っていない活動をしている場合、インドネシア当局により「最高5年以下の懲役及び最高Rp.500,000,000.-の罰金刑(入国管理に関する法律2011年第6号第122条)」が課せられる場合があります。
同じ帯同ビザでも、アメリカ、イギリスやドイツ、シンガポールでは、条件を満たせば働けるなど、国によって取扱いは大きく異なります。
新興国の方が、自国民の就労機会を守るという観点でビザのステイタス管理が厳しい印象です。
インドネシアで帯同ビザなのに現地で就労をしていたことで、配偶者(C312保有)と共にビザが剥奪となったという例があると聞いたことがあるよ。怖いっす。。。
駐在妻(夫)がインドネシアで働く方法
帯同ビザを就労ビザに切替
帯同ビザを返納し、新たに就労ビザを出してくれる企業(スポンサー)を見つけて働くという選択肢です。正攻法だと言えますが、以下の点に注意をする必要があります。
配偶者の会社がビザ切替を認めているか?
まずは、配偶者の会社がビザの切替を認めているかどうかを確認する必要があります。
危機管理の観点や事例がない場合など、会社によってはそもそも帯同ビザから就労ビザへの切替を禁止している場合もあります。
切り替えた場合、帯同家族としての福利厚生はどうなるか?
帯同家族として滞在している多くの場合、配偶者の会社から福利厚生を受けていると思います。
例えば、渡航までの費用(フライト代・予防接種代等)や、滞在費用(交通費・医療費・語学学校費用等)などが挙げられます。実費で給付を受けるケースもあれば、これらを勘案した給与に設定されているケースもあるでしょう。
帯同ビザから就労ビザに切替えることで、「帯同家族」としての福利厚生がどうなるか、新しいビザのスポンサーがどの程度の保障してくれるかをよく確認する必要があります。
筆者の場合は、切替自体はOKだけれど、「帯同家族」としての福利厚生は一切受けられなくなるということでした。まだ現地での生活に慣れていない中で、躊躇しているよ。
日本企業の仕事をリモートワーク
近年では日本企業でもリモートワークが普及し、仕事内容によっては完全リモートでも出来るかもしれませんが、注意事項があります。
また、この分野はまだ法制度が不十分で、海外リモート勤務の実例が増えるのに従って法整備が後追いでされていくのではないかと思います。
筆者も、調べたり人の話を聞いているけど、人によって解釈が違っている。解釈を誤って違法となることが一番怖いので、慎重に対応しようと思っているよ。
リモートワークをした報酬はどこに納税するの?
多くの場合、駐在妻(夫)は海外へ転出しているので本邦所得税法上の「非居住者1」となります。
日本企業から非居住者に払われる報酬(給与・業務委託料等)は、日本国内で発生した所得(=国内源泉所得)とならず、日本で納税する必要がありません。
すなわち、日本で源泉徴収もされなければ、確定申告をする必要もありません。
日本とインドネシアは、租税条約(国際取引について二国間で二重課税を避けるために結ばれている条約)を締結してます。
租税条約に基づくと、勤務に対する報酬は「どこで勤務をしたかが重要」であり、インドネシアで勤務をする以上は、インドネシアに課税権があります。
「第15条 勤務に対する報酬」
財務省:インドネシアとの租税条約協定
(前略)一方の締約国の居住者がその勤務について取得する報酬に対しては、勤務が他方の締約国内において行われない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課すことができる。
インドネシアで税金納付ができるのか?
報酬の納税を現地で行うことは、インドネシアで勤務していることを当局に証明していることとなります。
厳密には勤務≠就労ですが、、帯同ビザ(C317)では難しいのではないかというのが筆者の現時点での見解です。
C317でのリモートワークについては筆者も引き続き事例を探しているよ。
有意義な帯同生活にできるように、出来ることを引き続き模索していきたい。
まとめ:帯同ビザで渡航した場合に、働くのは中々ハード。
- 帯同ビザのままでは働けない。
- 帯同ビザから就労ビザに切り替える場合は、配偶者の会社や、新しいビザのスポンサー会社とよく確認する必要がある。
- 帯同ビザのまま、日本企業の仕事をリモートワークをするのは法整備が追いついていない分野。厳密に解釈すると難しいのではないか。
- 居住者とは日本国内に住所を有するもの、日本国内に現在まで引き続き1年以上居所を有するもの。非居住者とは居住者以外を指す。 ↩︎